ヒポクラテスと蓮の花

ヒポクラテスと蓮の花
京都にある森田療法入院施設“三聖病院”。そこは禅の影響を強く受けた精神科病院として知られ、“禅的森田療法”を自称しています。 「ヒポクラテスと蓮の花」は、禅的森田療法における、対人恐怖に悩む青年の入院から退院、1年後を追ったドキュメンタリー映画(DVD)です。

【目次】
1 Top
2 予告編
3 解説
4 宇佐晋一・プロフィール
5 紹介記事
6 クレジット
7 関連事項
8 DVDの仕様・ご購入


予告編





解説


ヒポクラテスと蓮の花 写真1

  対人恐怖に悩む青年の心の旅  
 ある春の日、対人恐怖(神経症)に悩む青年が、京都、東福寺の境内にある“三聖病院”に入院します。
 1922年に創立された“三聖病院”は、森田療法の入院施設ですが、創始者が禅僧であったため、禅の影響を強く受けていると言われています。入院患者は“修養生”と呼ばれ、修行僧のような私語の禁止された規律正しい生活の中に置かれます。
 青年は最初、そんな禅寺のような生活に戸惑い、治療に対して疑問と葛藤を抱きます。しかし院長である宇佐医師は、「自分の心を言葉にするから神経症になる。概念化しないこと、無になること、悟りに到達することが治癒。自分を隠した建前の生活が大切」と、一貫して主張します。そして院内には「しゃべる人は治りません」という張り紙があちらこちらに張られています。
 そんな治療環境の中で、青年は次第に宇佐院長の考えに影響されていきます。
 果たしてこれは医学なのか? それとも宗教なのか? 神経症の治癒と宗教の悟りはイコールなのか? 
 ドキュメンタリー映画「ヒポクラテスと蓮の花」は、治癒を求める青年を主人公に、三聖病院への入院から退院、そして退院1年後まで、彼の心の旅を追います。

ヒポクラテスと蓮の花 写真2

 医学と宗教の交差点で、日本人のメンタリティを問う  
 80年以上の歴史を持つ三聖病院は、森田療法の入院施設の一つです。森田療法とは、1920年代に精神科医 森田正馬が創始した神経症に対する精神療法です。
 西洋の精神療法は、不安や葛藤といった神経症の症状を取り去ることを目的とします。しかし森田療法では、取り去ろうとしていた症状は人間本来の自然な不安や葛藤であり、取り去れないものとし、症状を取り去ろうとしていたエネルギーを実際の生活に向けさせようとします。
 もちろん森田療法は禅から生まれた精神療法ではありません。三聖病院の「自分の心を言葉にすることが神経症の原因」という、その病理解釈からして、従来の森田療法や他の精神療法とも異なる、三聖病院独自のものと言えます。
 では三聖病院で行われている、禅の作法を取り込んだ森田療法とは、果たしてどのようなものなのか? 
 実は三聖病院における治療の実態は、精神医療業界でもあまり知られておらず、入院を経験した患者さんたちが、その入院体験を熱心に語るのみでした。
 ドキュメンタリー映画「ヒポクラテスと蓮の花」は、そんな治療空間に初めてカメラが入った貴重な記録と言えます。
 また、森田療法と禅という いかにも日本的な様式と方法、その根底に横たわる日本人のメンタリティを問う作品でもあります。

ヒポクラテスと蓮の花 写真3





宇佐晋一・プロフィール

fujita
1927年 京都府生。
1949年

京都大学附属医学専門部卒業。

1953年 京都大学医学部助手。
1957年 三聖病院 院長就任。
1960年

医学博士。

1987年 「あるがままの世界 〜仏教と森田療法〜」(共著/東方出版)出版。
1990年 精神保健功労者(京都府知事表彰)。
1991年 「とらわれからの解脱 〜森田療法による実践的生き方〜」(共著/柏樹社)出版。
1992年

精神科医療功労者(厚生大臣表彰)。

1995年 「続あるがままの世界 〜宗教と森田療法の接点〜」(共著/東方出版)出版。
森田正馬賞 受賞。
2004年 「禅的森田療法」(三省会)出版。
2007年 ドキュメンタリー映画「ヒポクラテスと蓮の花」「三聖病院 宇佐療法という宇宙」に出演。
2014年 (12月27日)三聖病院 閉院。
2018年 日本考古学協会より「シニアフェロー」の称号を授与。
宇佐晋一は、在野の考古学者としても活動しており、若い頃から考古学調査にも関わり、論文発表も行っている。シニアフェローは、50年以上の功労に対する称号。
2020年

「THE WORLD AS IT IS あるがままの世界 -完全版-」(共著/秀和システム)出版。




紹介記事

 
 京都森田療法研究所・ブログ  
 京都森田療法研究所のブログ(2016/07/08 アタラクシー、瞑想、禅、そして森田療法その2)で、「ヒポクラテスと蓮の花」が紹介されました。  
 主宰者・岡本重慶氏(精神科医、元仏教大学教授)とフランス(アルザス地域)在住のNyl Erb女史(精神分析家)との往復書簡について記事です。  
 京都森田療法研究所は、日本独自の精神療法「森田療法」の叡智の研究や 仏教、禅、東洋の思想哲学、教育、福祉などの側面から再考を試みる組織です。  
 Nly Erb女史は、フランス、アルザス地域で活躍する精神分析家。また詩人でもあります。日本文化に強い関心を持ち、特に森田療法に関しては、西洋の精神分析と比較しながら、しなやかな知性で解析を試み、自分のものとして吸収されようとしています。
 記事のタイトルに使われている言葉、アタラクシーとは、  

 アタラクシー〔ataraxie(仏)、ataraxia(英)〕  
 古代ギリシアのエピクロス派が用いた言葉で、語源からは、何ものにも邪魔されない状態のことであり、外界から煩わされない精神の平静、安定を指した用語である。エピクロス派はこのような状態に快楽があるとし、それを理想の境地として追求した。  

 だそうです。  
 ブログで紹介される往復書簡では、仏教や悟りに関して、岡本氏とNyl女史の間で思考のキャッチ・ボールが繰り返されます。  
 異文化について意見を交わし合うお二人のやりとりが、面白く読み取れます。  
 異文化理解、異宗教理解の問題は、現在の世界情勢にも大きく関係している問題だと思います。  
 銃や爆薬を手に取るのを止め、お二人のような知の交流が活発に交わされる世界になればと願います。 「ヒポクラテスと蓮の花」が紹介されているのは、2016/07/08のブログの一部分です。
 前後のブログにも話題がまたがっていますので、以下に紹介します。クリックでジャンプします。


2016/06/23
アタラクシー、瞑想、禅、そして森田療法(その1) ― Nyl ERB 女史らの論文紹介後に著者と交わした討論―

2016/07/08(「ヒポクラテスと蓮の花」紹介記事)
アタラクシー、瞑想、禅、そして森田療法(その2)―フランス人におけるアタラクシーへの親和性と仏教の受容について―

↓「ヒポクラテスと蓮の花」紹介部分。クリックで別画面表示、拡大表示できます。

京都森田療法研究所



クレジット

出演:

宇佐晋一 他

企画・製作: 日本精神療法振興会
医学監修: 丸山 晋(医学博士、精神科医)
撮影・録音: 田山 滋
音楽: Fylue Deau
制作: 有限会社ランドスケープ
編集・監督: 野中 剛
DVD / 16:9 / カラー / ステレオ / 120分 / 本体価格:9,074円(税抜)
2009年度作品

関連事項



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